2019-11-10
努力は夢中に勝てない(伊佐将吾)
2018年10月13日。昨年度のIリーグ最終節を終えたと同時に、私の15年にも及ぶ長いサッカー人生にも終止符を打った。
サッカーをプレーすることは大学が最後だと考えていた私にとって、残り1年を残してプレイヤーを辞めることなど、到底考えが及ばなかった。
当時オーバートレーニング症候群になった私は、サッカー部を辞めることを想定するほど、この先どうしていくのか葛藤していた。
今までの人生において体感したことのないことだったため、どうすればいいのか分からない状況だった。そんな中でも、一番相談に乗ってくれた吉岡晟弥という男は真のイケメン(顔以外)だと思う。
そして現在に至るわけであるが、私はメディカルという立場で関学サッカー部に所属している。今年から始めた新たな取り組みであり、怪我人の復帰までのプロセスを手助けするトレーナーのようなものである。
はじめは、というか今もだが、必死だった。何の知識もない。テーピングも巻けない。ろくにトレーニングも指導できない。説得力もない。このような人間がメディカルと言えるのかと悩みまくった。
スポーツ推薦で入部したにも関わらず、プレイヤーを辞めたことで、私のことを悪く言う人がいたことも知っている。メディカルへの批判も多かった。なんとかして見返そうと思ったけど、今までそのための手段としても私の中に存在していたサッカーが出来ない以上、私はとても無力な人間だと感じた。
それからは、ただがむしゃらに取り組んできた。大学のトレーナー資格を取得したり、テーピングや練習メニューもほぼ独学で学んだりした。試験期間中に東京まで学びに行くこともあった。気付けば、トレーニング動画をSNSに投稿している。
メディカルになると決断したことも、もちろんこの組織のためにという想いもあったが、それ以上に自分がどうしたいかの意志を優先させたウェイトの方が高い。ただただ、サッカーがなくても自信を持てる自分でありたかったし、自分が後悔せずに大学4年間を終えるために必要なことだと考えた。かなり利己的な奴だと思う。
それでも、同じメディカルの清水拓真を筆頭に、キャプテンの将太、スタッフの実言、早川、陽菜、智也が常に助けてくれた。
折れることなくここまで続けてこれたのは、間違いなくみんなのおかげである。ありがとう。
このブログが投稿される頃には、おそらく残り2ヶ月あるかないかくらいだと思う。
長くなってしまったが、私が伝えたいことは「今を楽しめているか」である。
私は大好きだったサッカーを続けることが出来なくなった。自分のプレーで両親を喜ばせることも出来なければ、ドリブルで相手をいなす快感も味わえない。
竹本のぎこちないビルドアップに苦労することも、ポジショニングが下手くそな晟弥にクロスを上げることもない。緊張でガチガチな英佑を見ながら笑いを堪えてプレーすることもないし、頼りがいがない村西に試合中大声で怒鳴りつけることも、おそらくもうないだろう。ダービーで自分のミスで負けて号泣することなんかは絶対にもうない(神谷嫌い)。
書き出したらキリがないくらいにサッカーを楽しめていた。こんなにも楽しいスポーツを出来なくなったことがなんだか寂しい。
だけど、みんなにはまだサッカーを楽しむだけのチャンスが残されているはず。多くの感情を抱くことができるこのスポーツを、思いっきり楽しめるはずである。
監督やコーチから正当に評価されないかもしれない。自分の思うようなプレーが出来ないかもしれない。それでも、そんなことすらも忘れるほどに、サッカーを夢中になって楽しんでほしい。それが私の願いである。
残された期間、少しでも怪我でサッカーが出来ない選手を減らす。これからも復帰への手助けに尽力していく。見返したいなんて気持ちはどこかへ消えてしまった。それくらい、私は今を楽しんでいる。サッカー部を辞めなくてよかったと思う。
今シーズンが終わり日本一になった時には、全カテゴリーの怪我人を「0」にする。そして、胸を張ってしみちょろ(清水拓真の愛称)とご飯を食べに行くことにしようと思う。
男子チーム 4回生 伊佐将吾