部員ブログ

2021-1-19
そのとき神意も動く(杉山天真)

桐蔭横浜に敗戦し、関西学院大学体育会サッカー部での活動を終えてから、少しの日数が経過しました。

正直なところ、目に見えない何かが肩からなくなり、その感覚を感じながら終わったのかとようやく実感するようになりました。

僕が1年間何を考え、どんな思いで過ごしていたのか、そして未来について少し書き記しておきたいと思います。

「誇れる関学を共創し続ける」

これが2020年度の活動目的でした。部員一人一人が関学サッカー部での活動に意義を見出し、個人のビジョンに向かって行動し続ける。そして、その個人同士が互いを認め合い、原動力となる関係性を構築し、日本一の組織になる。

そんな中で、自分自身の使命は部員全員が2020年度のチームを誇れると思える組織にすること。更に、自分含め部員全員にとって誇れる一年にすること。

果たして、みんなにとってどんな一年だっただろうか。

自分の今の思いとしては、まだまだ甘かったなということです。

まずは、1人のサッカー選手として、自分が本気でボールを蹴ることは今年で最後と意気込んだシーズンだったが、終わってみれば出場は天皇杯の2試合のみ。

二度の肉離れによって、グラウンドの外から眺める日々。復帰してからも、試合に出ることはできなかった。

今年に限った話ではないが、本当に怪我に悩まされ続けたサッカー人生だったなと思う。

1、2回の怪我であれば、それほど支障は出なかったが、離脱をするたびに、コンディションは当たり前のように落ちていくし、足首の捻挫が多かった事もあり、ボールのフィーリングも落ちていく。もうボールの蹴り方さえ、変わってしまっている。

また、どこかが正常でない中で、負荷の高いトレーニングをこなしていくと、徐々に身体のバランスが崩れだしていることも分かっていた。

そこから、1年間トレーナーをつけて、これまで自分だけでは向上させることが難しかった身体の使い方から見直してきたけど、気付くのが遅かった。

復帰してからも時間はあったし、その期間でアピールできなかったのは、間違いなく自分の力不足だった。

主将として、ピッチでチームを引っ張れなかったことが何よりも悔しいし、申し訳ない気持ちが大きい。

特に同じAチームの4回生や後輩には、自分がピッチに戻れない中、自分が背負うべきものを背負わしてしまった。

そんな状況の中、外からチームを強くすることの難しさをものすごく感じた。

やってる選手たちがどう感じているのか。何に違和感を抱いているのか。とにかく選手たちが目をぎらつかせて、同じ方向に向くようにすることに必死だった。自分にできることは何のか。ひたすらもがき続けていた。

そして、2020年で外せないのはコロナだと思う。

流石にこんな状況になることは予想していなかった。だから、後輩たちがこの状況を想定してチーム作りができることが羨ましい。

これだけの組織のリーダーになったことがなかった上に、新型コロナウイルスのもたらしたパンデミックは、想像を遥かに超える困難の連続だった。

自分たちはあくまでサッカー部。その最重要ツールであるサッカーがなくなった時に、組織としてどう強く、良くしていけばいいかには本当に頭を悩まされた。

仲間と会うこともできない。直接高め会うこともできない。自分のことを考えるだけなら何ともなかったが、組織となると別問題だった。

そして、再開してからも何気ない会話をすることが無くなっていき、学年の間でさえ、価値観のずれが生じてしまっていた。どっちが正しいとかではなかった。ただ、常に考えを伝え合うことはコロナだったとしても、最もやるべきことだった。

そうすれば、あの決断をしなくても良かったかもしれない。みんな辛い思いをせずに済んだのかもしれない。

それでも前を向き、1人の選手として、リーダーとして、多く問題を抱えながら、組織の課題に向き合っていく。

次第に余裕はなくなっていった。

桐蔭横浜に敗戦する前日、主務の松本が俺の部屋に来て、今の状態ではやばいと言いにきた。

正直、自分の中ではそこまでの感覚がなかっただけに、少し驚いた。

その時に自分がチームを客観的に見ることが出来てなかったんだと気づき、主将であるにもかかわらず、自分のことで頭がいっぱいになってしまっていた。本当に情けない。

彼の心情を考えると、俺がピッチに立って、結果で恩返しがしたかったと強く思う。

それでも、そんな一年を関学サッカー部の仲間と共に駆け抜けた日々は、何にも変えることが出来ない多くの失敗と挫折と喜びを味わうことが出来た。

反省はもちろん数えきれないほどあるが、今の自分がやれる全てを出し切ったし、後悔は全くない。

だからこそ、これからの人生に思い切って飛び込んでいきたい。

さて、2021年も難しいシーズンがやってくる。

コロナがいつ収束するかわからない。

こんな事を始まる前に言うのもどうかと思うが、今年は関学サッカー部にとって大事な一年だと思っている。

理由は大きく分けると2つある。

まずは、結果の部分。自分が過ごした4年間は結局タイトルを獲る事ができなかった。

4冠の関学というブランドはもう消えかかっている。

これからの関学サッカー部の未来を左右する、そんな一年になる覚悟を持って欲しい。

自分が試合に出ることしか考える事ができないままだと、いつまで経っても変わらない。

期待しています。

そしてもう一つは文化を残すということ。

正直、2020年に入部してくれた一年生は、関学サッカー部がどんな場所なのか、ほんの一部しか分からなかったと思う。

特にC2カテゴリーは、コロナがあった上に、先輩と関わる期間が極端に少なかった。

そんな彼らの下に、また新しい学年が入部してくる。もう大多数が関学サッカー部をよく知らない状態になっていく。

上回生は危機感と責任を持って、頑張って欲しい。

大学スポーツとは、関学サッカー部とは、学生を人として成長させる、鍛える器にすぎないと思っている。

サッカーはツールでしかない。

生きてきたほとんどをサッカーに捧げてきたが、自分にとってサッカーは、たかがサッカーだと思っている。

たまたまボールを蹴るようになって、周りの子たちより少し上手で、それが楽しくて夢中になって大学まで続けてきた。

大学生活は、サッカー以外にもやりたい事があれば何でもできる時間と労力がある。

ただその分、誘惑ももちろんあるし、将来の不安だって出てくる。

いろいろな選択肢がある。それでも関学サッカー部に在籍するのであれば、その環境で100%出し切るべきだと思う。

今自分が置かれた状況の中で、一人一人が関学サッカーに必要とされる人間であって欲しい。

だって、そんな面白い環境滅多に出会えないんだから。

思う存分使い倒したらいいと思う。

主将がチームを強くするのではない。

一人一人がチームを強くする。

下級生の間にできない奴は、4年生になってもできない。

それが主体性であるし、それが文化だと思う。

みんなの活躍を心から願っているし、これからは自分も関学サッカー部OBとして、微力ながら力になりたいと思っています。

最後になりましたが、2020年度関西学院大学体育会サッカー部を応援し、共に戦ってくださった全ての方々に感謝申し上げます。

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