2020-5-12
本当の想い(田口仁也)
「本当の想い」
「藤枝東高校で、選手権に出て優勝する」
これが僕の夢だった。
静岡県のサッカー少年なら誰しも一度は憧れるチーム「藤枝東高校」。そこで活躍がしたかった。苦手だった勉強も怠らず、頑張った結果、僕はなんとか藤枝東高校に入学することが出来た。強い想いで必死に練習にしがみついた。私生活や勉強を削ってまで。3年生の時、最後の学年でようやく試合に出られるようになった。絶対に自分なら出来るという訳のわからぬ自信を持って選手権に挑もうとした時だった。僕の夢は挑戦することなく終わってしまった。
左足の腓骨の骨折
全治5ヶ月の怪我をした。原因は、スライディングをした時、スパイクが人工芝に引っかかってしまったからだった。最後の選手権をスタンドで終えてしまった。初めて挫折をした。涙が出なくなるまで泣いた。「夢は夢だから叶わない」と言い聞かせた。それ以来、僕は夢という言葉が嫌いになった。
そんな中、僕は関学に進学することになった。もともと関学の先輩である兄がこの関学サッカー部のよさを教えてくれて、日本一を目指す組織に惹かれ、この学校へ進学しようと考えていたのだが、成績が足りなかった。でも、怪我をしてサッカーをやれなかった期間、死に物狂いで勉強した結果、本当にギリギリで関学に合格することが出来た。
夢を失った代わりに勝ち得た関学への進学。正直、気持ちは複雑だった。でも、進学が決まった日から、大学では、自分の想いをしっかりしつつ、刺激の多い環境で、精一杯チャレンジして、人としてもっと成長しようと思っていた。そうして、僕は日本一を目指す関学サッカー部で再びサッカーをすると決めたのだ。
正直、大学に入ってからは毎日考える日々であった。「1番下のカテゴリーで自分は何をしてるの?」「アイリーグに出たら、上のカテゴリーに上がれるの?」「何で体育会でサッカーしてるの?」「自分はこの組織で必要とされてないのじゃないの?」葛藤の日々だった。自分よりもサッカーが上手い仲間を見て、何度も考えされられた。そして、2回になり、コンダクターMTが来た。かなり悩んた。大学に来ている目的は、新しいことにチャレンジすること、そしてそこで成長することだった。その信念は曲げたくなかった。結果、MTを通して、仲間の熱い想いを確認出来て、この仲間のためなら頑張れる、本気で日本一を目指す組織のために戦えると覚悟を決められたから僕は、選手を辞めてコンダクターになった。
コンダクターになるに当たって、人として不完全な所が多すぎることを自覚した。コンダクターは、チームの目的のために組織全体を成長させることの出来るような人でなくてはならない。本気で日本一を獲りたいのなら、そんな人に先ずはならなくてはいけない。組織のためにも、必要なことである以上、自分は本気でそのような人間を目指す。そこへのチャレンジは残りの2年、自分らしく、全力でがむしゃらにやっていこうと思う。
関学に進学して2年経ち、改めてサッカー部に入って、本当によかったと思っている。本気の仲間、本気の組織に出会え、出来なかったことがたくさん出来るようになった。毎年、100万円以上の学費を払ってこの学校で学ばせていただいているのだが、この組織で学ぶことは、それ以上の価値があることだと思っている。
本気だからこそ、得られるものが大きい。これからも本気で日本一を目指してみんなで頑張っていこう。”夢”は嫌いだけど、叶うと信じて抱き続けている。今の僕の夢は、
「”みんな”で日本一を獲ることだ!」
最後に高い学費を支払ってまで進学をさせてくださった両親には感謝しております。これからも恩返し出来るよう精進してまいります。