2021-3-16
私たちに必要なもの(上田寛)
いよいよ、自分にとっての大学サッカーラストシーズンが始まりました。
今季は4回生として、また副将としてチームを引っ張る立場になり、より一層身の引き締まる想いでいます。「俺が原動力。」というビジョン、「日本一」という目標を全力で追い求め、全部員にとって充実した一年となるよう、自分の持てる力を最大限発揮して貢献していきたいです。
特に、部員それぞれが良い相互作用を生み、チーム全体として良い関係性を作り上げていくことに注力したいと思っています。互いが原動力となり、日本一を目指して勝ち続けるためには、それが一番重要だと考えているからです。
良い関係性と一口に言っても、高め合える関係、何でも言い合える関係、信頼し合える関係など、そこには様々な状態が含まれます。「良い」の捉え方は人それぞれ異なり、その関係に何をどの程度求めるかでどのように構築されるかも違うでしょう。そのため「関学サッカー部という組織においてどんな状態が正解の関係性なのか」という問いに対しても、全員が一致する答えを出すのは困難です。それはこれからずっと探し続けるものであり、理想の関係を築こうとすること自体が大切だと思います。
では、良い関係性を築くためには何が必要なのでしょうか。
あくまで個人的な意見ですが、全ての良い関係性には共通して、「聴くこと」と「説得力」の2つが必要だと思っています。私にとってこの2つは、人と関わる上で一貫して大切にしている価値観であり、これさえあれば大抵の人間関係は何とかなると勝手に思い込んでいるものでもあります。
まず「聴くこと」。これは、一番に相手の考え方や伝えたいことを理解するということです。
自分にとって大事な価値観や事柄であればあるほど、相手にそれを理解してもらおうと伝えることに必死になってしまいがちです。でも、それでは有意義な考えの共有はできません。それは、言葉が良くも悪くも「受け取る人次第」だからです。どれだけ伝え方を工夫しても、感情を込めても、それが正論だとしても、相手の立場を理解しようとしない言葉が響くことはありません。つまり相手に関心を持ち、先入観を持たずに理解しようとすることが大前提であり、その先に伝える作業があるということです。
そして相手を理解するためには、相手の話を「聴くこと」が第一ではないでしょうか。これは、頭では分かっていても実行するのはかなり難しいように感じます。実際、相手の気持ちや立場を完全に理解することは不可能に近いですが、コミュニケーションに行き詰まりを感じた時は、まだ相手について知る余地がある、話を聴けていない部分があるんだと考えるようにしています。その理解しようとする姿勢が、相手に伝わると思っているからです。
次に「説得力」。これは、相手に何かを伝えたければ、それに見合う日頃の言動や相手からの信頼が必要だということです。
自分が出来ていないことを相手に要求しても受け入れられないのと同じで、言葉と行動が矛盾している人と信頼関係を築くことはできないと思います。常に私が意識しているのは、「何を言うかではなく、誰が言うか」ということです。同じ発言でも、受け取る人にどれだけ認められているかで響き方が全然違うと思っています。特にリーダーとして皆に対して想いを伝える、また何かを求める時にそれは顕著に表れます。「○○が言うなら頑張ろう。」「〇〇にそんなこと言われても、、、」など、内容とは別に伝える人の見られ方が大きく影響します。そしてその評価や信頼は、日頃の言動によってしか得られないものなのです。
またこれは、組織においても同じことが言えると考えています。どれだけカッコいいビジョン、どれだけ大きな目標を立てても、それに見合う活動や取り組む姿勢、練習の質や試合での熱量がなければ、見ている人には響かないでしょう。私は関学サッカー部を「説得力」のある組織にしたいし、そのために積極的な活動をしていきたいと思っています。
ここまで長々と偉そうに書いてきましたが、結局何が伝えたいかというと、「思いやりのある、誠実な個人・組織になろうよ」ということです。その質をどんどん高めていけば、自然と良い関係性を持ったチームになり、「日本一」も「俺が原動力。」も達成できると私は信じています。
もちろん、自分は完璧な人間関係を築けているなんて思っていませんし、自分の考え方が正しいかどうかもわかりません。ただこの文章を通して、何か少しでも感じてもらえるものがあればとても嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
新4回生 副将 上田寛