2015-7-24
最後にやるべきこと (中西 康太)
私はこれまでの人生の大半をサッカーのために費やしてきた。周りが遊んでいる時間に厳しい練習で汗を流し、食事を自制し、体調に気を遣い、毎日サッカーを第一に優先して生活してきた。しかし私は、この生活で周りよりも損をしてきたなんて決して思わない。私にとってサッカーから得られる喜びや充実感は、普通の生活からは絶対に得られないほど大きなものだからである。サッカーは、いつの間にか自分の生活になくてはならないものとなっていた。
気付けば、私はサッカーからたくさんの恩恵を受けていた。サッカーのおかげで、一人の人間として大きく成長することができた。一生大切にしたい仲間ができた。恩師と呼べる人に巡り会えた。震えるほどの感動を味わうことができた。サッカーで味わった挫折や苦痛を帳消しにして余りあるほどの素晴らしい経験を私はさせてもらった。そしてまたひとつ、関学に入学させてもらえるという恩恵を受けた。関学サッカー部は、サッカーと私生活の両面で日本一を目指す本気の集団であり、そこに中途半端な考えや妥協は一切ない。目標のために一人一人が全力を注ぎ、毎日レベルの高い競争が生まれている。まさに私の求めていた環境であり、このチームでサッカー選手としての最後を迎えられるのは、私にとって大きな財産となるだろう。自分は本当に恵まれていると感じる。
そこで私が思うのは、これだけ多くを与えてもらっているのに対し、自分は何か恩を返せているだろうか、ということである。サッカーを思う存分やらせてくれている家族には成長した自分を見せることが、仲間・師には結果で応えることが、そしてサッカーには真摯に取り組むことが恩返しであり、私が最後にできることだと思う。私はまだ何も成し遂げていない。弱音を吐いている場合ではない。自分勝手にプレーしている場合ではない。もっと謙虚に、ひたむきに、全身全霊でサッカーに取り組むことが私にとっての使命である。覚悟を持ってこの使命を全うし、そして、家族や仲間、支えてくれた全ての人に自信を持って自分を表現し、恩返しができるようにしたい。
来年の冬、自分はどうなっているだろうか。ピッチに立っているだろうか。自分のサッカー人生に満足しているだろうか。後悔はないと、胸を張って言えているだろうか。残り二年とないサッカー人生、闘志が燃え尽きるまで、自分の全てを出し切りたい。
全国の頂点に立つために。
3回生 中西 康太