2016-10-12
挑戦から得たもの (原田朋治)
「迷ったときは難しい道を選ぶ」。これまでの人生において選択が迫られたとき、私はこの言葉を思い出して決断してきた。この言葉はある本に書かれていたもので、「難しい道に挑戦する方がたとえうまくいかなくても、自分の成長のために得られるものが多いから」という理由がある。この関学体育会サッカー部に入部したことや留学する際にスペインを選んだことも、この言葉によるところが大きかった。
サッカー部での活動を通して、私は大きく成長できた。それについては、これまで多くの仲間が部員ブログで述べていたので、私はスペインでの留学生活で成長できたことを書きたいと思う。
私の所属する国際学部では、卒業条件として留学することが必須となっている。私がスペインを選んだのは、大学2年間という英語よりもはるかに短い期間しか学んでいないスペイン語が、どれだけ現地で通用するのか挑戦したかったのとスペインのサッカー文化に実際に触れてみたかったからだ。
私が留学生活を通して強く感じたのは、これまで人に頼り過ぎていたということである。
日本人には気遣い、思いやりの文化があると思う。しかし、スペインでの生活で感じたのは、自分から何か言わなければ、行動しなければ、相手は何も助けてはくれないということ。ホームステイだったので、コミュニケーションの部分で、最初は特に苦労した。自分の考えや思いをスペイン語でどう言えばいいのかわからず、「間違えていたらどうしよう」と考えて、当初はなかなか発言できなかった。
しかし、「このままではいけない」と思い、辞書を家の中でも常に持ち歩き、間違いを恐れず、身振り手振りでとにかく伝える努力をした。そうすると、ホストファミリーも優しく接してくれて、会話を楽しめるようになっていった。
またある日、近所の公園に初めて行った時に、現地の人たちに「試合に入らないか?」と誘われ、一緒にサッカーをした。しかし、全くパスがもらえず、戸惑いを隠せなかった。日本人であれば、気遣ってパスをくれるのが普通だからだ。そこで、自分で相手からボールを奪い、そこから1人でドリブルし、点を奪った。そうすると、周りのスペイン人は私のことを認めてくれたのか、驚くほどにパスが来るようになったのだ。
人に頼って何かしてくれるのを待つのではなく、自分から行動することで自分の存在を強く認めさせないといけないと、留学を通して強く思った。
そのように思ったきっかけとなるエピソードがもう一つある。
それは、杉田祐希也選手との出会いだ。現在はタイ1部リーグのパタヤ・ユナイテッドに所属しているが、当時はエルクレスCFというスペイン3部リーグのチームに所属していた。運良く、一緒にフットサルをする機会が多くあった。さらに、いろいろな話を聞くことができた。杉田選手は大学1年生時に単身でスペインへ渡り、そこからプロ契約を結ぶに至った。当初、スペイン語は全く話せなかったそうだ。それでもその若さで、誰にも頼らず、自らの力でプロサッカー選手の道を切り拓いた人と出会い、とても刺激を受けた。自分も負けていられないと思った。
関学サッカー部での活動を振り返っても、人に頼っている部分があった。私は、大学1年、2年の頃はボランチを務めることが多く、良いパスを出せば点を決めてくれる人が前線にいた。その人たちがいたから、試合にも勝つことができていた。
しかし、3年から現在まで、自分が前線でパスを受け、点を決めることがより求められるポジションを務めるようになった。そして、試合に勝てない時は非常に責任を感じるようになった。特に無失点でも点が決められず、試合に勝てなかったときには、より大きな責任を感じていた。やはり、結果を出してくれる前線の人たちに頼っていたのだと思う。
サッカーにおいて、自らの存在をゴールやアシストという結果を出すことで強く示したい。サッカー以外のところでも、人に頼らず、自ら行動を起こし、周りに影響を与えられるようにならないといけない。その思いをより強くさせたのがスペイン留学だった。これまでの私自身のサッカーに対する取り組みに後悔はない。ただ、やるべきことはまだ残されている。関学サッカー部が日本一という目標へ近づけるように、これから先も自分の置かれた立場で、目の前のことに全力で取り組んでいく。
4回生 原田 朋治