2017-3-8
理由(細井 優希)
「俺ってなんでサッカーを続けてきたんだろう」最近そう思い返すことがよくある。
そんな時に思い出すのは、私の長いサッカー人生において、なぜか頭に強く残る1つの言葉である。
中学生の頃、西宮市のサッカーチームに所属していた私は、関学サッカー部の前ヘッドコーチである前田高孝さんの指導を受けていた。長い海外生活を終え帰国し、ドレッドヘアにバンダナという某海賊船長のようなビジュアルだった前田さんに対して、極めて一般的な日本人としか関わったことがなかった私は、恐怖に近い感情があった。しかし、前田さんの言葉にはパワーがあり、中学生ながら漠然と心に響くものを感じていた。
ある時、前田さんは私たち選手にこう言った。
「俺は感動したいからお前達にサッカーを教えている」
その当時の私は「なんかわからんでもないな〜」といった程度に感じていた。しかし現在、その言葉が腹に落ち、私が今までサッカーをしてきた理由は「感動したいから」が大きなウェイトを占めているとはっきり言える。
私はこれまで、サッカーを通してたくさんの感動体験をしてきた。応援も含めた全部員が本気で勝利を目指し闘い、結果に繋がり喜ぶ。また、大切な試合に惜しくも負けてしまい、悔しさで涙を流す。これらは方向性は違えど、心を突き動かされた感動体験である。そして、この感動は組織の構成員それぞれが、1つの目標に向かって努力する一体感があり初めて生まれる。また、その一体感は見ている人をも感動させる。私の大好きなイングランドプレミアリーグはゴールが決まれば数万人のファンを含めた全員が喜び、逆に惜しいシュートには悔しさを表現する。そんな良い意味で感情的な組織を作れないだろうか。
私はそんな思いで今年からC2チームのコンダクターという新しい立場に立つ。1つのカテゴリーのリーダーとして、全員が組織の構成員である自覚を持ち、一体感のある組織を作らなければならない。必然的に1回生が多くなるカテゴリーなので尚更である。そして、関学サッカー部を自らが感動し、観ている人を感動させる組織にしたい。今年の目的である「観る人すべてに一体感の可能性を示し、感動を与える」というワードは私にとってうってつけであり、使命である。
最後の1年間、スタッフという立場から深く組織に関わり貢献し、部員達と喜怒哀楽を共有したい。今までにない最高の感動を経験するために、私はサッカーと向き合う。
4回生 細井優希