2017-8-9
「向き合い続ける」秋津 奏太朗
ふと「なぜ大学でサッカーを続けているのか」と考えてしまうことがある。
高校3年の冬、高校サッカー選手権京都大会決勝、京都橘高校に敗れ、全国大会出場を逃し引退となった。引退直後は、真剣にサッカーをするのは高校までにしようかなと考えていたが、サッカーへの未練が残っていて、関学サッカー部に入部することを決めた。しかし、今思い返すとそうではなかった気がする。幼稚園の頃からずっと続けてきたサッカーから離れるのが怖かっただけだろう。だから、特別熱い志を持っていたわけではなかった。
大学サッカー1年目は、そんな考えの甘い自分に気づかされることになった。サッカーに向いてないのではないかとも思った。関学サッカー部は、部員一人ひとりがサッカーと真剣に向き合い、チームの目的・目標達成に貢献するために自主的に行動する、今まで経験したことのないレベルの高い集団である。私はそんな集団に埋もれ、取り残されている気がしていた。
大学での最初のシーズンが終わり、自分を見つめ直した。レベルの高い集団に身を置き、それに満足していた。今これを言えば相手はどう思うのか、後先考えることは人と関わる上で大切な能力である。私はその能力は備わっていると思う。しかしそれは、サッカーと真剣に向き合う上では、弱い自分への逃げ道であり、サッカーに対して真摯に取り組むことができていない何よりの証拠であった。
心機一転、大学サッカー2年目に臨んだ。すると、成長した自分が見えてきた。人前で自分の考えを伝える回数が増えたり、今までよりサッカーが楽しく感じることが多くある。周りからは、そこまで成長したようには見られていないかもしれないが、弱い自分に気づくことができたからこそ、実感できるものなのだと思う。
20歳の誕生日、母親からおめでとうのLINEが来た。感謝の気持ちと、お酒は飲み過ぎないようにすることと、サッカーで恩返しをするということを伝えた。すると「これからは自分のために頑張りなさい」と返信がきた。なぜかわからないが泣きそうになった。幼稚園から始めたサッカー。今まで何不自由なく、当たり前のように続けさせてもらっている。オフがあったら帰ってくるか聞いてくる母親。週末の試合にひっそりと見に来てくれていた父親。一番期待してくれていると思う。自分のために頑張れと言われたからこそ、今年は良い結果を残したい。両親はきっと喜んでくれるだろう。
私は弱い自分から逃げずに、それを一つひとつ克服していくために関学サッカー部に所属し、サッカーを続けている。当たり前ではない今の恵まれた環境に感謝して、日々全力でサッカーに向き合う。
大学サッカー4年間で一番成長した。
そう言われるような男に私はなる。
2回生 秋津 奏太朗