部員ブログ

2018-9-5
本心 (海口彦太)

 「お前が関学に行っても試合に出られるのか?」
 これは、私が高校三年生の冬に関学に進学することを、チームメイトに伝えた時に言われた言葉である。表情には出さなかったが、心の中では、「絶対に試合に出て活躍し、見返してやる」と思った。
 
 高校時代はほとんどの期間をB、Cチームで過ごした。Aチームで公式戦に出場したのは、最後の三試合だけだ。コーチや父親に言われたことにただ取り組むだけで、自分の頭に完全に落とし込めていなかったのが原因である。そのため、あえて誰も助けてくれない環境に身を置き、課題を見つけ、自ら考えて解決する。それが最も成長出来ると思い、関学への進学を決心した。

   大学では一年目から試合に出て活躍すると意気込んで入部したが、当然そんな甘い世界ではないとすぐに痛感させられた。同じ時期に入部した仲間がどんどんカテゴリーを上げていく。高校時代のチームメイトも関東で活躍している。思い描いていた理想の大学サッカー生活と現実のギャップに戸惑い、焦る気持ちと裏腹に怪我でサッカーができない日々が続いた。「復帰したら活躍出来る」という根拠のない自信を信じるしかなかった。幸いにも、離脱期間で、自分の頭を整理する時間が出来た。ストロングポイントは何なのか、同じポジションの選手にはないものは何なのかを考え続けた。高校時代に学んだ、自分で課題を見つけ、自らが解決することがここで生きたと感じた。

   三回生の後半になり、遂にリーグ戦に出場させて貰えた。しかし、活躍するどころか、私が試合に出てから、チームは勝てなくなった。インカレに出場することすら出来ず、勝てないのは自分の責任であると感じた。

   そのような状況の時の木鶏会の全体発表で、様々な境遇の下回生達が「Aチームが勝てていない今、私がすべきことは〜」と言っていた。その言葉を聞いた瞬間、鳥肌が立った。Aチームではない選手がAチームのメンバーと同じ気持ちで戦っていることがわかったからだ。これこそ関学サッカー部の良さであると思ったと同時に、自分の為だけにサッカーをしていたことを情けなく思った。最後の年は、自分の為でなく、チームの為にプレーをしようと決めた。

   その責任を果たすことを心に留めて四回生となったが、前期リーグ三節の同志社大学戦でチームの勝利をピッチの外から見た時、素直に喜べなかった。チームが勝った嬉しさ以上に、試合に出て活躍できなかった悔しさの方が大きかった。結局15年間自分の為にサッカーをしてきた私は、チームの為の前に自分の為にプレーするという心には嘘をつけないと思った。チームの為に自らの置かれた立場で必死に闘っている人と比べて、私はきわめて自己中心的であり、理想の四回生とはかけ離れているのは理解している。

 それでも、私は貪欲に自分の結果にこだわる姿が共に闘う人の原動力になることを信じている。昨年のIリーグ全国決勝戦で、「自分はまだまだ足りない。もっとやらないと」と思わせてくれた先輩のような存在になる為に、もう一度ギラつきたいと思う。

男子チーム4回生 海口彦太


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