2018-11-28
目の前のことに全てを懸ける(山下皓大)
このチームで日本一になりたい。この仲間と、日本一になって最高の感動を分かち合いたい。最近、ふとした時に本当にそう思う。
3年前、関学は関西で2回、全国で2回の優勝、いわゆる4冠を成し遂げた。しかし当時の私は、日本一になった瞬間、喜びや感動よりも、違和感の方が大きかった。自分が試合に出ていないとはいえ、幼い頃から目指してきた日本一をチームが達成したにも関わらず、心から喜ぶことは出来なかった。
家族や大学の友達、地元の友人に「日本一おめでとう」と言われても、何かが心に引っかかって、素直にありがとうとは言えなかった。
なぜか考えた。自分は、チームに特に必要な存在ではなかった。日本一に対して1%の力にもなれなかった。心の引っかかりはこれらからだった。このことがとてつもなく悔しかった。
この日本一を通して、「このチームに必要とされたい」と考えるようになった。そして、次こそは胸を張って「自分がいたから獲れた」と言える日本一を掴みたいと強く思うようになった。
その為、自分だけにできることを考えた。しかし、なかなか答えが見つからなかった。関学サッカー部には優れた技術を持った選手、優れた人間性を持った人がいっぱいいた。その中で自分の強みだと思っていたものが、強みだと思えなくなっていた。どうしたらいいか分からなかった。分からなかったから、毎日をがむしゃらに頑張るしかなかった。目の前の相手への勝負、試合の勝ち負けには人一倍拘るようにしたし、木鶏会や講演会では誰よりも熱心に話を聞き、メモをとった。これが何に繋がっているとかは分からない時もあったが、目の前のことに、とにかく必死に食らいついた。
すると、時間はかかったが少しずつ答えが見えてきた。自分の強みは、なにごとにも全力で取り組むことだと。サッカーでは、気持ちを見せて泥臭く闘うことだと。そしてそれを、いつでもどこでもやり続けることができる。
これが分かってからは、だんだんとカテゴリーも上がり、Iリーグに出場する機会が増え、チーム内で信頼されるようになった。「目の前のことを全力で取り組んでいたら、チャンスがくる。道が見えてくる。」これが私がこの4年間で感じたことだ。
今年はC1チームのキャプテンとしてシーズンをスタートした。不安は沢山あったが、自分のやるべきことは分かっていた。誰よりも闘い、声を出し、姿で引っ張って行こうと思った。下手くそでも、観る人の心に何か響くような試合がしたかった。観る人に勇気を与えるようなチームにしたかった。それを自分が先頭に立って体現していこうと思った。姿と結果で、関学サッカー部を底上げすることが自分の使命だと思ってやってきた。
全てを懸けてきたIリーグもあと一歩届かず、終わってしまった。正直、どれだけ皆に良い刺激を与えることが出来たかは分からないし、どれだけの人の原動力となれたのかも分からない。しかし、これまでやってきたこと、今やっていることを信じている。今年はそれだけの覚悟でやってきた。
残された公式戦もインカレだけとなった。今こそ全員が、日本一を獲る為にできることを考え、実行すべきだ。Cチームだから、Bチームだからなんて関係ない。やれることはまだまだある。全員にある。インカレに全てを懸け、日本一を獲ろう。そして日本一の感動を全員で分かち合おう。
男子チーム4回生 山下皓大