2019-6-13
想い(松本大輝)
「周りに良い影響を与える人間になれ。お前はそうなることができる。」
これは中学生の頃、教師から指導された時に言われた言葉である。
何のためにサッカーをしてきたのか。
小学生の頃に始めて、中学高校そして大学まで続けているサッカーだが、そもそもなんでサッカーをしているのか考えた事もなかった。小・中学校の頃はチームに目標もなくただがむしゃらにボールを追いかけて楽しんでいた。高校になって初めてチームに目標・目的が生まれ、達成もした。しかし個人的に強くサッカーをする目的があるわけでもなかった。チームに目的があったため個人の部分まで考えられてなかったのだろう。もちろんサッカーは大好きで自分の中で生活の軸となっている存在である。大好きだからやっている事も理由の1つだ。
ただ、ひたすらにプレーしてきた今までとは違い、関学大サッカー部は個人が競技でもそれ以外でもレベルの高い人達が集まった集団でそこに自分は身を置いている。そんなチームに入ってから自分は何の為にサッカーをしてきたのか考えることが格段に増えた。正直、考えれば考えるほどうまく言葉にできないし、たとえ何かそれらしい答えを思いついたとしてもそれは後付けの理由でしかない気がして自分自身で受け入れなかった。大学でサッカーをプレーしながらも悩み続けていた。そんな私にある転機が来た。
突然だが、現在私は選手をしていない。
結論から言うと私は今、コンダクターをしている。コンダクターとは学生コーチというか、トレーナーというか…簡単に説明し難いものだ。そもそもコンダクターとは、について話すととても長くなるので今回は深く述べないでおく。
大学サッカーに足を踏み入れて2年が経とうとする頃、分かってはいたが学年からコンダクターを出さなければならないという壁にぶつかった。毎週ミーティングを重ねる中でそれぞれが自分がサッカーに対する想いや、なぜこの部活に入っているのかを学年の皆んなに伝えた。私はそこでコンダクターになることを決意した。サッカーをする目的を見つけられなかった訳ではない。このミーティングを通して真っ先に思い浮かんだのが、冒頭に出てきた言葉である。周りに良い影響を与えるということははっきり言ってかなり抽象的だ。良い影響を与えているかどうかなんて目に見える結果に表れることは無いし、どこまで自分が影響力を持っているのかも測れない。ただ、私は選手ではなくコンダクターとして周りに良い影響を与える道を選択した。もちろん選手を続けてもコンダクターになっても良い影響を与える人間にはなれるだろう。しかし、様々な人と話を重ねる中で自分自身の人間力の部分を大きく評価していると言われたし、されていると感じた。自分は特別凄い事が出来る訳でもないし、華やかなキャリアがある訳でもない。中学の頃からこの言葉を軸に、相手のことを常に考えて行動していた結果なのだろう。選手ではない私がどこまでできるのか、自分という人間が一番組織で貢献するためにはこのポジションになるべきだという考えからコンダクターを志願した。
私が思うに良い影響を与える人間とは、自分自身が常に全力で毎日を過ごすことで、付いてくる仲間が自分と同じように、自然と全力で闘うことを可能にする人間だ。そのためには何事にも妥協をせず、自分自身が全力でチームの為に動くことが求められるだろう。自分がミスをすれば、それがチームに伝わって悪い空気が流れるかもしれないし、努力すればするほどチームが良い方向に傾くかもしれない。そんな大事な立ち位置にいることを幸せに思うと同時に、残りの2年弱を全力で走り切りたい。
最後に、私がコンダクターになることを素直に受け入れてくれた3回生のみんなに感謝している。ありがとう。私はこの学年が何よりも大好きだ。
いつか私が良い影響を与える人間になれたとき、必ず日本一という景色が見えているはずだろう。
男子チーム 3回生 松本大輝