投稿日時:2015-12-19 09:29
私はいつもその大きな背中から学んでいた。それはピッチの上ではもちろん、ピッチの外でも同じだった。練習でも試合中でも、その男はいつも隣で誰よりも声を枯らし、誰よりも体を張り、誰よりもチームの為に全力だった。それはサッカー外の所でも変わらなかった。誰よりもチームの為に時間を費やし、チームを一つにするためにいつも試行錯誤し努力を惜しんではいなかった。
私はそんな男の姿を一年間ずっと見てきた。苦しい時もあっただろう。重圧やプレッシャーに押しつぶされそうになった時もあっただろう。だが、彼は人に弱音を吐かず、いつも大きな背中で私たちを引っ張ってきた。
そんな彼と一緒に戦う試合も、今日が正真正銘最後になってしまった。
いつも試合のキックオフの前にやる決まりごとがある。それはメンバーと円陣を組んだ後、最後に彼と握手をし「よし、行くぞ!」と気合いを入れることだ。これをする事で私は自分を奮い立たせることが出来る為、とても好きだった(変な意味ではない)。
しかし、それが出来るのも今日で最後である。寂しさはもちろんあるし、正直まだまだたくさん近くで学びたいこともあるが、そんなことはもうどうでもいい。私にとって今重要なのは、これまで誰よりも苦労をし、自分の事よりもチームの為にやってきたこの男に、もう一度優勝カップを掲げさせることだから。今までたくさんのことを学ばせてもらった恩返しとして、私にできる事は、今日の試合で私の全てをぶつけることだと思う。
今年それらが実り、最高の結果を残せば、おのずと来年にかかるプレッシャーや責任は大きくなるだろう。しかし、それは乗り越えられない壁ではない。なぜなら関学サッカーの求めるプロセスは、サッカーだけが上手い集団ではないからだ。サッカーはもちろん、サッカー以外の活動でも、主体性を持ち、自らでやる意義を見出し、自分が置かれた立場で常に全力で取り組み、学び、成長しなければいけない。それが出来るのが大学サッカーの醍醐味であり、関学サッカー部の素晴らしさである。
そして、このことが正しい道だと証明してくれているのが、今年の4回生を中心にした関学であり、これからも引き継いでいかなければいけないことだと思う。更にそれらを引き継ぐ為には、来年主務になる安達という存在をはじめ、AからCまでの信頼できる選手達、心強いスタッフやマネージャー達と共にまた1から進んで行くことが大切である。
だから今年最高の結果を残し、チーム全員の取り組みや苦労が正しかったと証明しよう。そして来年最高のスタートを迎えられるよう、今日必ず関学が勝つ。
そして、最後に優勝カップを掲げるのは井筒陸也だ。
3回生 米原 祐