2016-5-4
人間的成長を求め (佐藤 陸)
私は神奈川県出身であり、高校を卒業するまで地元を離れた事がなかった。進路を決めるにあたり、このまま好きなサッカーだけをやり、甘い環境に自分の身を置いて良いのかという葛藤があった。鈴木浩一郎さん(元横浜Fマリノスユースの先輩 現法学部3回生)からの話、練習参加を通じて私は関学への入学を決めた。
よく質問されるのが「わざわざ関西に行く必要があるのか」、「近場の関東にも良い大学はたくさんあるのではないのか」、「関東の大学サッカーの方がレベルが高いのではないか」などである。この質問に対し、私は毎回説明する。『日本中どこを探しても関学が日本一の大学である』と。
部員全員が本気で日本一を目指し、一人ひとりが日本一に貢献しようとする姿勢。サッカーにおける、より厳しい競争。勉学に励むのに相応しい環境。どれをとっても私に欠けていたものである。親元を離れる、友達と離れるなど失われるものもあるが、関学にはそれ以上に得られるものがたくさんある。その一つが人間的成長だ。
私は人間的成長を遂げるため、積極的に取り組んでいる事が二つある。
一つ目は、私が現在務めている学年リーダーとしての仕事だ。他の人とは違う一歩引いた視線で学年をよく観察し、2回生をより良い方向に導く役職だ。どうすれば、学年がより良くなるのか試行錯誤を繰り返している。その一つが”コンダクター選出”である。
関学サッカー部では、3回生になる時に、部にとって不可欠なコンダクターを選手の中から決める。コンダクターとは、競技を行う選手ではなく、チームを支えるスタッフである。コンダクターを決めるのは容易ではない。何故なら、これまで十何年も続けてきたサッカーをやめなければいけないからである。私は、このような大切な”コンダクター選出”に学年リーダーという立場で密接に関わっていくと決心した。
二つ目は、「何故」というフレーズを自分なりに考える事である。関学では、試合はもちろん、練習の時から「何故」勝てなかったのかなどを、ミーティングを通じて一人ひとりが考える。そして、自分なりに「何故」を追求していく中で、人間的に成長できると思う。
ふと考える事がある。
「何故」”大学サッカー”をやるのかと。
サッカーをやりたいから”大学サッカー”をやる。それもそうだが、大学4年間、サッカーだけをやるのは少しもったいない気がする。
関学サッカー部員は、スポーツ推薦、一般入試、指定校推薦など様々な形で入学してくる。そのため、この集団はプロサッカー選手を目指している人、銀行員を目指している人、これまでに出会った事がないような真面目な人など、多種多様な考えをもった人達の集団だ。
様々な考えを持つ人達と、一緒にサッカーをする中で、人間関係を学んでいく。これは”大学サッカー”でしかできないことであり、プロサッカー選手にはできない経験だろう。”大学サッカー”で人間関係を学ぶ事により、人間的成長を遂げられると私は考える。
残りの大学3年間、人間的成長を求め、日々邁進していきたい。
2回生 佐藤陸