2016-6-8
構成要素 (上島 奈緒)
頑固、負けず嫌い、こだわりが強い、楽観的、大雑把、真面目・・・
このような構成要素が集まって、「上島奈緒」という唯一無二の人間が出来上がる。
人はたくさんの構成要素が集まってつくられたもので、たとえ家族であっても、気の合う友人であっても、その要素の中には必ず違うものが存在し、またその要素それぞれが全体を占める割合も違う。それが個性なのだと思う。
私を成り立たせる構成要素の中で一番を占めているもの、それは「冷めている」という要素だと思う。
自分は冷めている、と思う時が何度もあった。
高校での部活の時も、受験の時も、周りの皆が前だけを向いて必死になっている時に、どこか一歩引いている自分がいた。
そんな自分があまり好きでは無かった。
熱く、前だけを見ている周囲の人が物凄く眩しくみえた。
関学サッカー部には、本当に素晴らしい人がたくさんいる。
目標のために、夢のために熱くなっている姿を見て、理由は他にも色々とあるけれど、なによりもその中に自分が入るとどうなるのかが知りたくて、入部した。
しかしいざ入ってみると、やはり冷めた自分がいて、それがなかなか変わらなくて、1年生の時はとても苦しかった。熱い人になりたくて、夢中になりたくて、でもなれなくて、自分を見失っていたと思う。
でも、2年生になってそれが変わった。
大きなきっかけがあったわけではない。ただ、なによりもチームのためにと動く先輩たちがいて、貢献しようともがく後輩たちがいて、そしてチームを良い方向に導こうと奮闘する同期がいて、自分も埋もれる訳にはいかないと感じた。
何事にも多感な時期を終え、大学生にもなったら、自分の構成要素もその割合もなかなか変わらないはずだ。
自分にしか出来ない貢献を求める関学サッカー部に入部した以上、自分の構成要素を誰よりも理解し、生かさなければならない。
関学サッカー部の中で埋もれないように、貢献するために、自分は一歩引いて冷めた視点から物事を見て伝える、それが自分にしか出来ない貢献だと思った。
これまであまり好ましくなかった、冷めているという要素が、強みになるかもしれない、と関学サッカー部によって気付かされた。
それからは少しずつではあるが、自分のすべきことが見えてきて、気持ち的にも楽になり、日々の部活が充実してきた。
そして、その冷めた視点からたくさんのことが見えてくるようになった。
関学サッカー部に所属する人は、「貢献」という言葉に随分と悩まされる。
どのようなやり方で、どのようにチームに「貢献」するのか、答えを探そうと皆がもがく。
そしてそのうち、自分が見えなくなる人が多くなったと私は思う。
入部したときに感じたあの眩しい姿が、今はどこか縛られていて窮屈そうな姿に見える。
皆が難しい顔をして、難しい言葉を並べて「貢献」について語る。
熱く夢中になっている人は気付かないうちにそうなっているのかもしれない。
ただ、冷めた私からすると、それは少し寂しくてつまらないことだと思う。
上手く言葉には出来ないけれど、何というか、もっと、色んな人がいていいのかなと感じる。
たくさんの構成要素で出来た自分という一人の人間と、その自分という構成要素が集まって出来た一つの組織・関学サッカー部。
色が様々な方が面白い。もっと混ざり合った明るい色のほうが良い。
先週の木曜日に、関西選手権で無念の敗退となり、総理大臣杯への切符も逃がした。
全員が、様々なことを考えたはずだ。
私は、今こそ自分を見つめ直し、どのようにしたら自分が関学サッカー部という組織の中で必要不可欠な一員、つまり関学サッカー部を成り立たせる、重要な構成要素になるのかを考えることが大切だと思った。
今、関学サッカー部は岐路に立たされている。
でも、私はきっと大丈夫だと思う。根拠はないけれど、でも、大丈夫だと感じる。あれだけ熱くて眩しい人達が集まった集団だ。
今は少し、色が薄くて暗くなっているのかもしれないけれど、自分を見つめ直し、強みとなる構成要素を見つければ、明るい色にすぐに変わる。自分の中のマイナスな構成要素は、仲間のプラスな構成要素がカバーしてくれる。
今こそ学年も立場も関係なく手と手を取り合い、どこにも負けない一つの大きな熱くて眩しい組織を目指して奮闘するべきだ。
そしたらきっと、全員で喜びを味わえると思う。
何にも縛られない、明るい顔で喜びを噛み締められると思う。
そしてそれを、私は一歩引いた視点で眺めていたい。
その時に向かって、その時を信じて、欠けてはならない構成要素(関学サッカー部の一人ひとり)が手をとりあって、今こそ全員で頑張りましょう。
3回生 上島奈緒