2016-6-17
感謝(北村征也)
私は、2002年日韓ワールドカップで大活躍したドイツ代表GKオリバー・カーン選手のプレーに一目惚れし、小学3年生からずっとキーパーをしている。
皆によく言われることがある。『何でキーパーをしているの?キーパーって何が楽しいの?』と。誰が何と言おうとキーパーは魅力的なポジションである。なぜなら、スタメン11人のうち唯一、手を使用することができ、チームのピンチを何度も救えるヒーローになれるからだ。ピンチを防いだ時にチームメイトから『サンキュー!』と言われ、チームのヒーローになったときほど嬉しいものはない。
しかし、そんな魅力的なポジションでもあるゴールキーパーは一人しかピッチに立つことができない。チームにどんなに多くの優秀なキーパーが存在しようと、ピッチに立てるのはたった一人だけなのだ。
私は、小学生、中学生と必ず試合に毎回出場し、守護神として奮闘していた。だが、高校三年の時にサッカー人生で初めてポジション争いに負けるという挫折を味わった。チームが全国大会ベスト4という素晴らしい成績を残す中、私は素直に喜ぶことが出来なかった。こんな悔いの残る形でサッカーを終わらせたくないという想いから、両親の承諾のもと心機一転で親元を離れた。関西の大学に行って自分磨きをし、大学でサッカーを続け、良い形で終わらせることを決意した。
入部してから関学サッカー部に私は大きな衝撃を受けた。全部員が自分の果たすべき役割をしっかり理解していて、チームの目標を達成するために自分ができることを最大限全うする。試合に出場している選手は裏でサポートをしてくれている部員のために感謝の心を忘れず全力でプレーし、チームに『勝利』という最高のプレゼントを届ける。このように関学サッカー部員は一人ひとりが違う形でチームに貢献していると言える。
そんな主体性を持った部員の姿を目にすることで私は気づいたことがある。高校の時の挫折は、試合に出場できなかったから悔いが残ったのではなく、チームに何一つ貢献することが出来なかったから不甲斐無い気持ちに終わったのだと。
そして、私は少しずつではあるが、以前に比べてチームのために行動することが出来るようになった。試合には出場していないが、去年、四冠という偉業を成し遂げたとき高校時代とは違い、素直に喜ぶことができた。これは、関学サッカー部が私を大きく変えてくれたおかげである。
今年は去年を上回る喜びをチーム全員と味わいたい。そのために私は、自分の役割を全うし、チームの目標を達成するための行動をする。私を大きく変えてくれた関学サッカー部、そして、チャンスを与えてくれた両親に『恩返し』をするために。
4回生 北村征也