2016-10-5
怪我をしたから感じられたもの(山口嵩弘)
今年こそはIリーグで活躍し、Bチーム、そしてAチームを目指していこうと思っていた。C1ではスタメンとして出させていただき、Bには上がれるという自信は少なからずあった。
しかし、今シーズンが始まる直前(4月)に左膝前十字靭帯断裂という怪我をした。6月に手術をした私の復帰予定は、今シーズンが終わる12月。いわゆる、今季絶望という状況となった。この時、とても悔しかったし受け入れ難かったが、「強くなれるチャンスじゃないか」と考える自分もいた。
私は今まで、自分のプレーのことばかり考えていた。しかし、全治半年という怪我をして、チームのことや周囲のことに目を配り、考える時間があって、感じたことが二つある。
一つ目は、人によってサッカーに対しての姿勢や、目指している地点に違いが生まれてしまっているということである。
だがそれは、サッカー部全体の目的・目標だけでなく、それぞれのカテゴリーごとに目的・目標を持ち、日々レベルの高い競争が行われ、本気でサッカーに取り組む関学であるからこそ、生まれてしまうものだと思う。
大学生になると、自分に出来ることと出来ないことの区別はつくし、ここから急激に成長するということもあまりない。そこで自分の限界を感じ、本気でサッカーに取り組んではいるが、無意識のうちに目指す地点が低くなってしまっている人がいるのではないだろうか。他にも理由はたくさんあるだろうが、関学サッカー部が掲げる目的を達成する為には、このように意識に差があってはならない。全員が本気のベクトルを合わせる必要がある。
そしてこの差をなくすために、自分ができることはなんだろうと考えた。
それは、『今シーズン、サッカーができない山口が、あれだけリハビリに全力で本気で取り組んでいるのだから、おれたちももっとやらないと。』と思わせることだと確信した。
怪我をする前の自分より強くなる。そして復帰後はBチーム、Aチームへとステップアップするという目標がより明確となった。
『半年もあるんだから今日ぐらいは、手を抜いてもいいや。』と思ったことは一度もない。
二つ目は、「貢献」という言葉に縛られすぎているんじゃないか。ということである。
関学サッカー部は「人間力向上」にもとても力を入れている。そして部員全員がどのようにしたら人として成長できるのかを、真剣に考え行動している。その中でどうすればチームへ貢献できるのか。それについて考え悩むことが多い。私もその一人だし、そのことは素晴らしいことだと思う。しかし、「人間力向上」、「チームへの貢献」というものに真剣に取り組むからこそ、チームのためを想い一人で背負い、窮屈になっている。そんな印象を持つことがある。
チームというのは様々な人たちがいて、その様々な人たちが、考える→共有する→行動する→結果を出す。この繰り返しで創り上げられるものだと私は思っている。
だからこそ、もっと一人ひとりが持つチームへの想いを全員で共有して、それをまとめて大きな力とすればいいのではないか、全員で背負えばいいのではないかと思う。そのためには、もっと全員が、自分は関学サッカー部の重要な一部分だと、認識する必要がある。
しかし私自身、『発言力がない』『感じてることや考えていることがあるのにそれを口に出さない』などと仲間たちから言われたことがある。そうではなく、自分の意見を言葉にし、仲間の言葉を受け入れ、より多くの人(学年、カテゴリー関係なく)と意見をすり合わせて行動することで、関学サッカー部の重要な一部分に私はなっていく。
今シーズンも残り3ヶ月を切った。私にとっては復帰までの期間と同じだ。あとどれぐらいレベルアップできるだろう。リハビリ以外のことでも、どれだけ今年のチームに良い影響を与えられるだろう。その度合いを決めるのは自分だ。私はもっと上へ行く。
そして、チームとしてここまで関学は、思うような結果を残せていない。残された僅かな時間を、学年も役割も立場も関係なく協力し合い、目指している地点をより高くし、全員が本気でそこを目指し、全員で強くなろう。最後に全員が満足し笑って終われるように、今からまた関学サッカー部全体で頑張っていこう。
2回生 山口嵩弘