部員ブログ

2016-10-26
やみつき(稲本 樹)

私は高校生のとき、女子サッカー部のマネージャーをしていた。そして今は男子サッカー部のマネージャーを務めている。「なんで男子サッカー部なの?」とよく聞かれるが、それには理由がある。

私がいた高校の女子サッカー部は総勢25人ぐらいしかいない小さなチームだった。そこにマネージャーが3人。多いと思われることもよくあったが3人でもそれなりに仕事が多かった。でも大学は100名以上の選手にマネージャーが7人。それを知って、高校とは比べものにならないぐらいの規模のチームで自分がどれだけできるのか試したかった。

そして、大学生となって周りの友達に
「マネージャーしてる。」と言えば
「え、洗濯とかするん?」
「いいえ、しません。」と期待に添えられず、
「じゃあ、水渡すん?」と次に聞かれると、「うん、そんな感じ」と言うとだいたい腑に落ちられる。
(あ、いや、でもそれだけじゃないですよ…。)と内心遣る瀬無さを感じることが多い。

基本的にマネージャーの仕事は、選手の給水タイムに合わせてボトルを出したり、メニューに沿ってそのボトルを配置したり、アイシングのための氷を袋に詰めたりと単純作業の繰り返しだ。ただ、それは練習中におけるマネージャーの仕事のひとつであって、他にも対外試合の際に必要な用具等をまとめて用意したり、チームの運営に関わるお金の集金、管理等と、練習外での仕事の方が多い。

このことを人に話してみると、
「それ週6でして、オフは授業ある日とか全然休めへんやん、よくやるなそんなこと」とか「人のためにそんな尽くされへん」とか言われる。確かに、この内容だけを見たら、そう思われても仕方ないだろう。

それでも、なぜマネージャーを続けるのか。その理由を挙げるとするならば、それは「やみつき」という一言に尽きる。

私たちマネージャーは全員で7人いて、4つあるカテゴリーに分かれ、それぞれのカテゴリーのスタッフとして1年間活動する。そうすると、担当するカテゴリーの選手やスタッフと長い時間を共にすることとなり、多くのことを感じることができる。

例えば、上のカテゴリーに上がりたくて必死に練習して、ときには居残って練習して、選手同士がお互いに切磋琢磨する姿をみて応援したくなる感じ。
自分のチームの選手が上のカテゴリーに上がれた時の嬉しさとなんだか寂しい感じ。
チームが一致団結して絶対勝ちに行くぞと燃える感じ。
ギリギリの試合をしているときのハラハラした感じ。
勝った時の心が暖かくなる感じ。
負けた時、悔しい結果になったときの苦しい感じ。
そしてなによりも、苦しい試合を制したときの全員で喜ぶ感じ。これを一度味わってしまったから、私は「やみつき」なのだろう。

実はもう1つ、このサッカー部に入部した大きな理由がある。それは、自分が4回生となったときに、関学サッカー部の創立100周年という記念すべき年を日本一で飾ることができるチャンスがあるからだ。

入部してから現在までサッカーをもっともっと間近で見るようになってサッカーに対しての見方が変わった。それは命懸けであるということだ。目の前で足と足がぶつかり合う痛々しい音と共に必死にボールを奪い合って、どれだけ弾き飛ばされても転んでも立ち上がる。どれだけ苦しくても、足がつっても足を止めることなく必死に走ってぶつかりにいく。もし、私が選手だったら、そんな命懸けなことはできないし、すぐ逃げ出していただろう。

でも、関学サッカー部の選手たちは絶対に逃げ出さず、1人が下を向けばもう1人が駆け寄り手を差し伸べ、そして手を取り合って前に進む。本当にすごい人たちばかりだ。そして、そんな人たちを私は誇りに思うし、やる気と元気をもらえる。また4年間マネージャーとして選手を支えられるように前に進んでいきたいと思える。だから関学サッカー部のマネージャーでいたい。
これも私にとって「やみつき」なのだろう。
「やみつき」にさせてくれた関学サッカー部の選手やスタッフの人たちと共にこの関学サッカー部を支えていきたい。

2回生 稲本樹


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