2016-11-16
薬味のネギ(柴山侑果)
ある日友だちとたこ焼き(関学の裏の)を食べていた時、ふと思った。「あ!私はネギになるんだ。」
ネギは基本的に薬味に使われ、料理として主役となることは少ない。最後にちょこっと、だけど真ん中に堂々と、あらゆるメイン料理の上に佇んでいる。使い勝手がよく、あってもなくてもいいかもしれないけれど、あったらすごく大きな存在。そう思った。
私は大学に入って部活をしようとは思ってなかった。小・中学校でバレーボールをやっており、たまにトレーナーの人が来てくれていた。あまり物事に興味を示さない自分が、漠然とだけどトレーナーに興味を持っていた。
大学内を歩いていたある日。大学の部活にはマネージャーの他に、トレーナーという役職もある事をビラ配りで初めて知り、体験をさせてもらった。私は今まで面倒くさい事、重要な事は他人任せで、責任感のあまりない人だった。しかし、私は女性なので、社会人になる時に向けて男性社会で生きていく力をつけたかった。そこで、自分の可能性が自分次第で広がっていくサッカー部に惹かれた。ここならそんな自分を変えられる。そう思い、サッカー部に入部した。
大規模な集団に対して少人数のスタッフ。コンダクターというのはほんとに幅広く、無限大だ。コンダクターの中でも、立場によって仕事も大きく異なる。与えられた仕事をただ淡々とこなすだけでなく、自分でやるべき事を模索し、仕事にしていく。今自分は何を第一優先にすべきか、何を求められているのかを先読みし行動する。本当に自分次第でどんどん成長できる魅力のある役職だ。単にサポートをしていると思われがちだが、私は自分のなりたい像を追求していく結果として選手のサポートに繋がっていると思う。
スタッフは自分が直接的に戦うわけではない。今までサッカーとの関わりがなく、こんな立場が初めてな私にとって、一回生の頃はどこか他人事の様に思えて、モチベーションを維持するのが難しい時もあった。でも時間と労力を毎日費やしていくうちにその気持ちが変わっていった。
11月3日。Iリーグ決勝トーナメントの決勝戦。私が帯同するBチームは接戦の末関西制覇を逃し、準優勝で全国大会に出場となった。これまでの試合では見ることができた、みんなの笑顔で喜ぶ姿が見られなくて本当に悔しい気持ちでいっぱいだった。怪我が痛かろうが、足がつってようが、死ぬ気でボールに向かって走る姿を見て、「自分もこの人達のために今以上にもっと頑張らないと!」と思った。こんなんじゃ終われない。毎回応援してくれるA・C1・C2チーム・スタッフのために、ボロボロになっても必死で戦う子どもを応援する選手の家族のために、みんなの全力で喜ぶ姿をもう一度見るために、私は面と向かいぶつかり合って戦えない分、環境作りに徹し、常に全力を出せる状態にする。そして関学サッカー部にとってかかせない存在になるため、前向きに仕事に取り組みながら選手個人個人と向き合い、いつ何時でも頼られる、薬味のネギみたいな存在になる。
2回生 柴山侑果