2017-4-5
貢献 (西田 健人)
「このチームに貢献しろ!」
「このチームのためにお前は何ができる?」
100人以上の部員を抱える関学サッカー部では、一人ひとりの存在意義について問うこの言葉がいつも付きまとう。私はこの言葉にずっと引っかかっていた。チームへの貢献、それはチームのために自分は何ができるのかを考え、それを行動に移すことだ。つまり、チームのために頑張る、ということである。言葉にするのは簡単だが、これはとても難しいことだと思う。
大学でサッカー部に入部する理由は様々である。プロになるため、より高いレベルでサッカーをするため、高校時代の悔しさを晴らすためなどである。関学サッカー部に貢献したいと思い、入部してきた人はほとんどいないだろう。しかし、入部すると、チームへの貢献が求められる。その矛盾に私はずっと引っかかっていた。しかし、ある一つの出来事が私に、その問いの答えをくれた。
関学サッカー部は学生主体の理念のもと、コンダクターという役職が設けられている。(コンダクターとは、学生コーチやトレーナーとしての役割を持つ学生スタッフのことである。)私たちの学年は、コンダクターを選出するために、嫌というほどミーティングを繰り返した。去年の10月頃から始まり、今年の1月は、テスト期間にも関わらず、ほぼ毎日、夜の9時から11時まで学年全員で話し合った。時には、夜中の2時近くまで話し合うこともあった。
その中で、自分の時間を削ってまで話し合いの内容を考えてくれた人、チームのために本気で仲間に怒ってミーティング中に出て行ってしまう人、討論が終わってからも熱く話し合う人、文字通り単位を捨ててまでチームのために時間を費やしてくれた人、チームのために涙を流す人が多く存在した。
意見をぶつけ合ううちに、一緒に入部した仲間たちの本音に触れ、そんな仲間のことがどんどん好きになり、そんな仲間がいる関学サッカー部という集団のことが大好きになった。そして、このチームのために自分ができる精一杯のことをして、貢献したいと心から感じることができた。
この経験を通して、貢献とは、強制されるものではなく、自分から好んでしたいと思うものであるということが分かった。好きではない集団のために、自分ができることを精一杯考え、行動することはできない。例え、貢献しようと思っても、それは、ただただ、しんどいものであり、やらされているものでしかない。どれだけチームのために頑張れるかは、どれだけそのチームのことが好きかで決まると思う。
私は、今年の2月から、コンダクターとしての活動を始めた。今までと異なる立場からチーム全体を見るようになった今、私は、チームのことがより好きになっている。目標に向かって、こつこつと努力を続ける人、壁にぶつかっても、逃げずに挑み続ける人、自分の弱さと正面から向き合っている人、物事を俯瞰で観ることができる人、スタッフとしてチームを客観的に見たとき、関学サッカー部には、素晴らしい仲間がたくさんいることに改めて気付くことができた。
チームへの貢献の仕方は人それぞれだ。大切なことは、個人がチームのためにできることを考え、それに全力を尽くすことである。コンダクターとしての私の仕事は、このチームをみんなが大好きになるような集団にしていくことだ。関学サッカー部には、素晴らしい仲間が集まっている。私は、関学サッカー部が、もっと凄いチーム、一人ひとりがもっとチームを好きになれるような組織になるための手助けをする。あと2年、この大好きなチームのために自分の出来ることを全力でしていきたい。
三回生 西田 健人