2018-3-21
やりがい(清水拓真)
「なんでコンダクターしてるの?」
「やりがいは感じる?」
これは、大学サッカーをコンダクターという立場で過ごしてきて何度も聞かれた質問である。そのたびに私は軽く受け流してきた。説明すると長くなるし、自分の中でも明確じゃなかったからだろう。
私という人間は、誰かの前に立って仕切って目立ちたがったり、自分が試合に出れず、同じポジションのやつが活躍していたら、チームが勝っても嬉しくないと思う自己中心的な考えを持っていた。そんな私が、現在スタッフとしてチームの裏方にいることは、高校時代のチームメイトからすればきっと考えられないことだろう。自分がコンダクターに興味を持ったきっかけは、高校の時にした怪我だった。
自分のいた高校は、強豪校じゃなかった。だが自分達なりに目標に向かって全力で日々を過ごしてきた。その集大成と意気込んでいた高校最後の大会の3日前に、怪我をした。結局試合に出ないまま、自分のサッカー人生は終わることになった。しばらくサッカーから離れ、サッカーを続けるか考えている中で、高校の顧問の先生が関学でトレーナーとして四年間を過ごしたことや、先輩が現役で関学のスタッフとして活動していたこともあり、トレーナーというものへの興味を持った。これまで自分を支えてくれた人たちへの恩返しと、日本一となったチームに関わってみたいという想いから、自分はコンダクターという立場で大学四年間を過ごす決意をした。
このような決意を持って入部したものの、入部当初は何をすればいいのか分からず、サッカーをするという自分を表現する手段もなく、なかなか馴染めなかった。自分がこの組織にいる価値が見出せない苦しい日々だった。スタッフという立場は、試合に出てゴールを決めることはできないし、チームのためにと思って行動したことが目に見えて結果につながるわけでもない。
そんな私が現在もスタッフして頑張ろうと思えている一番の原動力は、関学サッカー部のみんなの存在である。特に同期はいいやつばかりで、入部当初なかなか溶け込めてない自分に積極的に話しかけてくれたやつ、練習が終わってもずっとグラウンドに残ってトレーニングするやつ、サッカーに本気で向き合いひとりの人間としても尊敬できる人ばかりで、私はこのメンバーが大好きだ。
最初の話に戻るが、「やりがいは感じる?」という質問に答えようと思う。
やりがいはもちろん感じる。自分のしたことが他者から評価されたりすることよりも、自分自身で考えてチームのために行動できたときにやりがいを感じている。
自分はプレーしていないのに、試合に勝てば嬉しかったり、負ければ悔しかったり、このチームのために自分が頑張ろうと思えるのは、関学サッカー部への帰属意識からだろう。ここまで一人一人が誇りを持てるチームは関学だけである。私は関学サッカー部を誇りに思い、自慢できる仲間がたくさんいる。だからこそ自分にできることでチームに貢献し、それを実感できたときにやりがいを感じるのだ。
私にとってスタッフとして3回目のシーズンが始まった。今シーズンから3人の同期がチームのため、自分自身の成長のために選手を辞め、コンダクターになる決意をした。選手のみんなが「3人の分も」という覚悟を持ったように私も覚悟を決めた。新しくコンダクターになった3人に負けないように、他のメンバーにも負けないように今シーズンを過ごしたい。私が一番サッカーを楽しんでやろうと思う。
男子チーム 新3回生 清水拓真